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チームが101敗を喫し、最下位に沈んだ08年。8年連続200安打の偉業を達成したが、一部の選手が「個人記録のことしか考えていない」と陰口をたた き、米メディアも過剰に反応した。その苦い思いをずっと抱えていた。今季も置かれた状況は2年前と同じ。チームは早々と失速し、最大の理解者だったグリ フィーは6月に突然、現役引退を表明した。また、孤独な戦いが始まった。18日に日米通算3500安打を達成した際もセレモニー自粛を申し出た。「感情の 感覚というものが変な感じになった」。だが仲間の笑顔が、2年間の心にかかった霧を吹き飛ばしてくれた。
快挙の裏でイチローはいつも苦しんでいた。昨季、連続シーズン200安打の大リーグ新記録を樹立し「ようやく人との戦いから解放された」と言った。今季 は開幕前、200安打を意識せず達成することをテーマに掲げたが、周囲の期待はそれを許さなかった。「2年前は目標にすることすら否定され、今度は目標に していないのに…。筋の通っていない感覚にずっと違和感を覚えながらのプレーだった」
いつもは調子を上げてくるはずの夏場の7月は打率・246と低迷。一時は記録継続が危ぶまれた。152試合目での到達は、02、03年と並び2番目に遅 いペースだったが、いつもの場所にたどり着いた。年間200安打の通算回数でも、4256安打の大リーグ記録を持つピート・ローズの最多記録に並んだ。
イチローは「あの質問は一生忘れない」と笑みを浮かべて振り返る。メジャー1年目のオープン戦、当時ロッキーズのエースだったハンプトンと対戦した際、 ある記者に「彼からヒットが打てると思うか?」と質問された。それから10年間、誰よりも安打を積み上げてきた。「最初は侮辱から始まった。それが“何で ヒットが打てないんですか”という質問に変わった。周りを変化させられたことに対して、ちょっとした気持ちよさはある」。日本人野手初の大リーガーに対す る懐疑的な目を変えてみせた。